長嶋正樹の靴屋稼業50年 その10

May 9, 2016

店は八重洲地下街、池袋、十条、府中と次々に出店して行く。
 

僕は府中店の主任になり、やっと一人前になりかけていた。
 

12月のある雨の降る日、靴の配達をしに来た運転手のにいちゃんが
 

『凄い事件が起きた!』と興奮して店に入って来た。
 

東芝府中のボーナスが強奪された 『三億円事件』 だ!
 

その時、白バイ警官に化けた犯人が、興進ゴムの半長靴(ブーツ)を
 

履いていて、府中店で同型の半長靴を売っていた。
 

捜査に来た刑事に 『売った覚えはないか』 と訊かれたが、全く記憶になかった。
 

それでも遺留品のポスターに掲載する為に、

 

同型の半長靴を府中署の捜査本部に貸し出したのだが、事件は迷宮入りしてしまった。
 

1968年のことである。

 

続く

 

 

 

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