長嶋正樹の靴屋稼業50年 その74

July 4, 2017

ももちゃんとのニューヨーク 6

 

 

なけなしのドルで焼き栗を買ってしまった僕は、晩飯をどうしようかと小雪の降るニューヨークで思案していた。

 

「そうだ!クレッジトカードで払おう」と思ったが、クレッジトカードが使えるようなレストランはちゃんとした店だ。

 

そんな店に独りで入るのは勇気がいる。

 

日本でも独りではちゃんとしたレストラもンに入った事がない。

 

でも腹は減る。食わない訳にはいかない。そして思い切って一軒のレストランに飛び込んだ。

 

「ハウメニーパーソン?」とおじさんのウエーターに聞かれ「アローン」と指を一本立てて答えた。

 

大きなガラス窓に面した席に案内され、飲み物とステーキとサラダを注文し窓の外を見ると雪がさっきよりも勢いを増していた。

 

クリスマスのイルミネーションがいっぱいチカチカして雪が降っている。「ああニューヨークに居るんだな~」と、しみじみ思った。

 

レストランからホテルに帰る途中、スケート場と大きなクリスマスツリーで有名なロックフェラーセンターに寄った。

 

天使のオブジェに豆電球が飾られ、スケート場の後ろには巨大なクリスマスツリーがそびえている。

 

寒さを忘れて思わず見とれてしまった。

 

「そうだ、ももちゃんにも見せてあげなきゃ」とホテルに急いだ。

 

ホテルに戻ると間もなくももちゃんが帰ってきた。

 

さっき見たロックフェラーセンターの感動を伝え、是非ももちゃんも見ておくべきだと力説した。

 

が、「だけど俺足が痛いし、夜遅いのでやめとくよ」と言って乗ってこない。

 

「でもせっかくニューヨークに来て、あれを見ないで帰るのは一生後悔するぜ」とねばる。

 

「わかったよ、行くよ」とももちゃんはマメが出来た足を引きずってロックフェラーセンターに向かった。

 

雪は道路に薄く積もって、あたりを白く染めていた。

 

ロックフェラーセンターを見たももちゃんは、足の痛みを我慢して歩いてきた甲斐があったと喜んでいた。

 

クリスマスのニューヨークは本当に素晴らしい。

 

この後何回かクリスマスのニューヨークに行ったが、この初めてのクリスマスシーズンのニューヨークは思い出深い。

 

 

続く

 

 

 

 

Please reload

最近の記事
Please reload

アーカイブ
Please reload

タグ
Please reload

  • Facebook Basic Square