長嶋正樹の靴屋稼業50年 その111

March 20, 2018

Trickers

 

1991年オープンした神宮前、明治通りのトレーディングポストが順調に推移して、さらに品揃えを充実させる事にした。そこでアメリカ寄りの品揃えから伝統的なイギリス製の靴を導入する為、ノーザンプトンのTrickersをを訪ねた。

 

Trickersは1829年創業のノーザンプトンでも老舗の工場だ。ノーザンプトンの駅に営業担当役員のブライアン.タビナーさんが迎えに来てくれていた。タビナーさんの車で古い煉瓦造りの工場に着くと、タビナーさんは工場のドアーを開けて「19世紀にようこそ」と言って中に招いてくれた。

 

工場見学をした後、ショールームでサンプルを発注する事になり、ショールームの中を見て回り靴をピックアップしているとダブルソールのごついウィングチップの編み上げブーツが目に止まった。しかしアッパーの革がガサガサで酷い革だ。タビナーさんに「このブーツは何?」と聞くと「そのブーツはカントリーブーツで、ハンティングやアウトドアー用のブーツで、水や汚れに対応する為にその革を使っているんだ」と答えた。僕は革見本の中からドレスシューズ用のフルグレインレザーを選び、「このフルグレインレザーでこのブーツを作れませんか?」と言うとタビナーさんは「出来るよ」と言ってくれた。それが今Trickersと言えば、カントリーブーツと言われる定番になったのだ。

 

タビナーさんにはその後、イギリスの伝統靴について色々と教えて頂いた。

 

例えばフルブローグ(ウィングチップ)は本来アウトドアーの靴で、親子穴は革が二重になって水に濡れた時、早く乾くよう穴を開けたのだ。だからフォーマルの場で穴飾りの靴は場違いになるとか。

 

フォーマルの時に履くオペラパンプスなどは何故エナメルのアッパーなのか?それはフォーマルの場では必ずパートナーが隣に居る。パートナーはロングドレスが多いのでドレスの裾が男性の靴に触れる。その為ドレスの裾が靴墨で汚れないようエナメルが使われるのだとか。

 

その他本当に為になる事を色々と教えて頂いた。タビナーさんは、Alfred Sergentのリチャード.ウエッブさんとコンビでアメリカや日本に営業に来ていた。ある年の2月、ニューヨークの57丁目で二人にバッタリ会った事を思い出す。

 

続く

 

 

 

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