長嶋正樹の靴屋稼業50年 その133

September 12, 2018

 

Charles de Batz

 

このブランド、シャルル.ド.バツもデュッセルドルフのGDSで見つけた。独特な厚ぼったいラストのグッドイヤーウェルト製法、生産国はフランスだ。ウエストン、パラブーツに通ずるものがある。価格を訊くとリーズナブルだ。

早速英語が話せるお兄ちゃんと商談に入りその場で発注をした。彼の名はカーロ.アヴァンザトといってエクスポートマネージャーという肩書きの、ちょっとちゃらいお兄ちゃんだ。まだ日本での販売はないというので、日本での独占販売をさせろと言うと、意外にもすぐにOKが出た。

 

店での販売は好調で、卸売り先でも評判が良かったので僕の悪い癖でデザイン別注を思い立った。木型はそのままで僕のデザインでと絵を描いてカーロに送り、カッティングダイ(革の抜き型)の費用や最低発注足数を教えて欲しいと問い合わせると、「カッティングダイは必要ない、足数は何足でも良い」との返事が来た。僕はカーロは若いし靴の事が分からないのでこんな返事をよこしたんだろうと思った。何度かやり取りしたが、答えは一緒でカーロは「とにかく一度工場に来い」と言う。

 

アムステルダム空港経由でストラスブールに着いた。カーロに取って貰ったホテルにチェックインして街を歩くと澄んだ川が流れ、いたるところに花が咲いていて建物はドイツ風のとにかく綺麗な街だった。

 

翌朝カーロが車で迎えに来て工場に行くと、工場が巨大なのに驚いた。僕は小さな町工場だとばかりと思っていたのだ。看板には[Bata]とある。「えっ!バータ?ヨーロッパ最大の靴屋だよ」

 

そうシャルル.ド.バツはバータの一部門だったのだ。バツの工場はこじんまりした所だったが、ここでも驚いた。紙型をコンピューターで入力し、ガラスケースの中で革を水で裁断している。だからカッティングダイが必要なかったのだ。「ごめんねカーロ、靴の事分からないなんて言って」

 

日本での販売は順調だったが、巨大なバータとしては微々たる売り上げだったのだろう、バツの部門はクローズしてしまった。残念だった。今だったらパラブーツの様になっていたかも知れない。

 

 

続く

 

 

 

 

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