長嶋正樹の靴屋稼業50年 その151

January 18, 2019

中国での靴作り 3

 

中国の靴作りはあなどれないと思っていた頃、僕が特許を取ったプラットグッドイヤーウェルト製法は手間がかかり量産できない。

しかも手間がかかるので高価になってしまうという悩みがあって、これを中国で作れないだろうかと考えはじめていた。

もと三菱商事で子会社のライフギアコーポレーションの社長だった宮本さんに相談すると、ニッピ(日本で一番古いタンナーで、リーガルの親会社)のグループで銀座の大倉ビルにある大鳳商事の飯田さんを紹介してくれた。(ニッピはホテルオークラなどの大倉グループ)

飯田さんは中国語が堪能で中国事情にはめっぽう詳しい。

 

中国広東省、東莞にある全有という工場はもともと台湾でG.H Bassのローファーの手縫いモカシンを作っていた工場で働いていた蘇さんという女性が、アメリカメイン州のウォルトンのG.H Bassの工場に行き、手縫いモカシンの技術を修得して独立し、東莞で工場を設立したそうだ。(メイン州ウォルトンのG.H Bassの工場には僕も行った)

蘇さんと飯田さんは古くからの知り合いだという。

 

プラットグッドイヤーウェルト製法は中底にリブテープが無い為、掬い縫いの機械にかけられないので、手縫いの掬いが必要だ。

オンザラストで手縫いモカシンが出来るのなら掬い縫いも出来るのではないかと考えたのだ。

 

飯田さんと東莞の工場に行くとそんなに大きくないが、立派な工場だった。

社長の蘇さんは女性だが靴作りに自信を持っていて、工場内を見るときちんと整理され、特に手縫いモカシンはオンザラスト

ならではのモカシンの出来は綺麗だった。

日本の工場では難しくて何処も作れなかったプラットグッドイヤーウェルト製法もなんとか作る事が出来た。

 

僕はこの全有の工場の技術の高さが気に入り、プラットグッドイヤーウェルト製法を始め、キャラウェイシューズ、丸井のビサルノ、ユナイテッドアローズ、三陽山長のデッキシューズ、伊勢丹オリジナル、大塚製靴のポールスチュアートなどのカジュアルシューズを長年に渡り作って来た。

 

欲を言えば、中国で手に入る革は満足できるものはない。靴作りは良いのだが革が良ければ、そしてミニマムロットが少なければもっと良いのにと思う。

 

今中国は特恵国に靴の生産が移り、かなり厳しい状況になって来ており、蘇さんの全有も大変だと聞く。

あの技術はもったいないので、なんとか活かせないかと考えていた。

 

続く

 

全有のON THE LASTならではのモカシン。モカ糸、レザーシューレースはアメリカ製。

 

 

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