長嶋正樹の靴屋稼業50年 その162

May 28, 2019

プラット式グッドイヤーウェルト製法 1 

 

今を去る事20数年前だと思う。まだ僕は三菱商事の子会社、ライフギアコーポレーションとの合弁会社マクナリー&カンパニーの副社長としてインポートシューズショップ、トレーディングポストを展開していた。

 

ある日、恵比寿の事務所で紙型の師匠佐藤さんと打ち合わせをした時の事だ。

佐藤さんはアシックスのウォーキングシューズPEDALAで大ヒットしたカリフォルニアプラットの紙型を作って貰った。

立体的な袋状の靴の紙型の名人なのだ。

 

カリフォルニアプラット製法は、普通の製法では木型にアッパーを乗せ吊り込み、木型通りの形に成形するのと異なり、立体裁断した革を足袋の様に縫製し、アッパーの段階ですでに靴の形にしてしまう。そのアッパーに木型を入れ、ハンマーで叩いたりして形を整え靴のシルエットが完成する。

 

吊り込みをしないので硬い中底が必要が無い為柔らかく屈曲性が良い。

さらに中底にクッション材を入れて本底を付けるのでふわふわの履き心地が得られるのだ。

 

アシックスのウォーキングシューズPEDALAの一部はこの製法だったので年配のお客様が「履き良い、軽い」と大好評で爆発的に売れた。

 

営業の人は売れるもの最優先でグッドイヤーウェルト製法やマッケイ製法の靴が次々と廃番になり、PEDALAは年配のお客様のブランドになってしまった。

他社がPEDALAの真似をし、今ではコンフォートシューズの名で市場にあふれている。

 

僕はプラット製法がなんであんなに売れたか?と考え、軽い、屈曲性、クッション性に優れている事だと結論付けた。

だけどデザインが良くない! あの機能性でかっこいい靴が出来ないものかと佐藤さんと相談していたのだ。

 

佐藤さんはおもむろに手作りのサンプルを取り出した。

それは見た目はグッドイヤーウェルト製法の形だが、グニャと曲がる!プラット式グッドイヤーウェルト製法だ!

 

足袋の様なアッパーの中底の縫しろをグッドイヤーウェルト製法のリブ(硬い中底にテープ状のリブを貼り付け、アッパーとウエルトを掬い縫いする為のもの)に見立て掬い縫いをした、カルフォルニアプラット製法とグッドイヤーウェルト製法の合いの子が出来上がった。

 

グッドイヤーウェルト製法は硬く、重く、曲がらないのだが、このプラット式グッドイヤーウェルト製法は柔らかい、軽い、曲がる。おまけにクッション性があり、まるでスニーカーの履き心地なのだ。

 

続く

 

コードヴァンの靴でもこんなに曲がる!

 

 

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